みみずく通信

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新しいバイトをはじめた

7月下旬頃、この先予想される給与と出費を照らしあわせて、このままでは最高の夏を過ごせない……と危機感を抱いていた僕のところに1通のメールが届いた。

学生アルバイトの募集をいたしますので、ご興味のある方はご連絡ください。

 天運我に有り、これこそ最高の夏を司る神が授けてくださった救いに違いないと理解した僕は迷うことなく教授に連絡をとった。ついでに友人2人も誘って応募してもらったが2人とも落ちて自分だけ採用された。やはり、教授のほうにも最高の夏の神の思し召しが通達されていたのだろう。各人にはまた別の形で最高の夏が訪れることになるに違いない。神は最高の夏において平等だ。

さて、バイトに採用されたはいいが、この求人の採用人数は2人である。バイトの良し悪しの半分は給料と業務内容の釣り合いによって測られるが、残りの半分は職場環境―つまり、同僚は良い奴か、職場のエアコン温度は適切か、上司の頭は禿げていないか、などによって決定するというのが僕の持論である。僕の知る限り、募集をかけてきた教授の頭部は無事だし、うちの大学はエアコン温度の変更は自由なので、問題は同僚がどんな奴か、ということになる。

うちの大学にたまにいる田舎出のDQNくずれみたいな奴だったら嫌だな……怒ると辞書の角で殴ってくる人だったらどうしよう……ジャングル出身のゴリラ、ヌベレゲ・ウンダバさんとかだったら一周回って面白いかもしれない……などと考えているうちにバイト初日である8/24を迎えた。

適当に準備ができ次第家を出たら5分前に教授のゼミ室に着いた。適当に出発してもこのジャストミート、やっぱりデキる男は違うね?

もともと業務内容が書籍を裁断してスキャンすることだったのである程度予想はしていたが、この教授のゼミ室は本だらけだった。本棚は当然埋まっているとして、そこかしこに本のタワーがうず高く積まれていた。内容も多岐に渡っている。

高等遊民”。

講義を受けていたときから感じていた教授への印象が強まった。

本棚でひときわ目立つ「カルト宗教のトラブル対策」に興味を示していると、後ろでドアが開く音がした。

「あ、なんだ……」

知ってる人だった。これじゃブログのネタにならないじゃないか。がっかりだよ!

僕と違ってしっかり者であることはうすうす感じていたが、やはりと言うべきか、履歴書などを書くことを予想して証明写真ハンコ通帳完備というパーフェクト対応を決めてきた。僕はもちろん全部忘れた。5分前に着いたくらいで調子に乗ってデキる男は違うね?とか言ってごめんなさい……。

作業自体は僕も僕に与えられたスキャナもポンコツだったせいで多少滞ったこと以外は順調だった。接客も飲食も肉体労働もたぶん無理な上に社会不適合者という働くことに向いていない人種なので自分でも働けそうなバイト先が見つかってよかった。

そういえば、契約絡みでこんなことがあった。

 

「大学側に申請したり手続きしたりで最初の振込が1,2ヶ月先になっちゃうんだけど大丈夫?もしもすぐ欲しいんならポケットマネーから出すけど」

「アッ大丈夫です」

「それならよかった」

 

最高の夏、終了。