みみずく通信

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最近よく施設に祖父母のお見舞いに行っている。

 

特に祖父のほうはけっこう弱っていて、座って話を聞きながらいろいろと思うところはある。が、こっ恥ずかしいので書かない。

 

少しだけ書こうと思う。

 

祖父母はふたりとも認知症の傾向が出ていて、記憶に欠落があったり、勘違いをしたりすることがある。このあいだは、テレビで見た記憶とごっちゃになって韓国にいることになっていた。いきなり「和樹は韓国語を話せるのか?」と聞かれたときは何のことかと思った。僕が落としたのはフランス語だ。

その上、祖父は「ばあさんはボケちゃってなあ……」と事あるごとに言うし、祖母は「おじいちゃんはボケちゃってねえ……昔は頭良かったのよ?」と毎回のように言う。お互い自分のことを棚に上げていると母にいつも笑われている。

 

2週間前、祖父の兄妹が和歌山から訪ねてきた。弱っているのを見られたくないらしく、最初はぶっきらぼうな態度をとっていたが、お土産の柿を食べているうちに泣きはじめた。祖父が泣くのを初めて見た。祖父は泣きながら言った。

「節子を守ってやるつもりだったのに……守られてしまった……」

ああ、と思った。この時までずっと疑問に感じていた。様子を見る限り二人とも自分の病状はしっかり認知しているようなのに、なぜ相手のことばかり言うのだろうと。

 

僕は今年で21歳だ。今日聞いた話だと、おじいちゃんがおばあちゃんに会ったのも21歳だったらしい。いろいろと思うところがある。