みみずく通信

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風呂

日本にはいろんな風呂があるということを学んだ夏だった。この夏に僕が行ったふたつの不思議な温泉を紹介しようと思う。

 

鹿の湯

うちの塾では毎年夏に講師たちで塾長の別荘に行く催しがある。

今年は二日目に鹿の湯という天然温泉に行った。

奈良時代からの歴史あるすごい温泉で、傷ついた鹿が身体を温泉で癒やしていた……なんて言い伝えからこの名がついたらしいんだけど、この温泉の一番の特徴は最高48℃の熱湯風呂であること。

一応41、42、43、44、46、48℃と六段階の浴槽が用意されていて、各々が好みの温度の湯船に浸かることができる……と思っていた。

実際に浴場へ入った僕が目にしたのは誰も入ってない浴槽の周りを無数の全裸男性が無言で取り囲んでいる異様な光景だった。めっちゃこわい。あとおじいちゃんもけっこういたから「高温風呂なんか入って心臓発作で死んじゃったりしないのかな?と思った。

僕は怖気づいてしまって手前にある41℃の風呂だけ浸かって奥のほうは眺めるだけにとどまったのだが、どうもたくさんの常連がいてルールに基づいて高温風呂に代わる代わる入っているらしい。

貼り紙によると、高温風呂は波が立ってしまうと熱すぎて耐えられないので、入る時は4人が同時に入って、出る時も声をかけて同時に出るとのこと。

しかし実際には常連たちは”何か”を感じ取っては無言でスッと4人出てきて同時に入り、”何か”を合図にスッと同時に風呂からあがる。貼り紙には「常連のみなさんのせいで他の方が入りづらくなっています。やさしく教えてあげてください。」みたいなことも書いてあったけど本当に入りづらい環境ができていた。

お風呂というより修行場って雰囲気の場所だった……。

 

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↑ネットで拾ってきた画像。奥に進むにつれて高温になるので、当然奥には”達人”感ある人たちが溜まることになる。

 

砂むし風呂

9月上旬には家族旅行で鹿児島へ行った。

砂むし風呂には初日に行き、親に「全裸の上から浴衣を着て外を歩いて砂場まで行く」という説明を受けたためなんか犯罪的な感じがするな……と思いながら準備をした(親としては下着をはいたままできちゃったりして面倒にならないようにという配慮だったんだと思う)。

親の配慮も虚しく、僕たち兄弟は「なんかサンダル置いてあるけど履いたほうがいいのかな?」「裸足でも行けそうだしいらなくない?」「たしかに」というアホみたいな会話をして係員さんに「サンダル置いとくんで帰りは履いて帰ってくださいね……」と三回も言われることになるんだけど、まあそれは置いといて、砂蒸し風呂がどんなものかを説明しよう。

砂むし風呂はその名のとおり自分自身を砂で蒸してそれを温泉だと言い張るポカポカになろうというやつ。まあ普通の海岸でもよく砂に埋まって首だけ出してる人いるよね。あれの地中が温泉になってる?版です。

砂むしゾーンに到着すると係員に指定の場所に転がるよう指示され、言われるがままに転がると両側にシャベルを持ったお兄さんが立ち自分を埋めてくれる。埋められるときはどんどん砂が乗って身動きが取れなくなるのでちょっと不安になります。

たしかに蒸されてるんだけど、冬なら「すごーい!砂がポカポカする!」ってなったのかもしれないが、残暑が厳しすぎて太陽光で暑いんだか温泉で暑いんだかよくわからなかった。砂から出た時の開放感と涼しさは心地よかった。

砂むし風呂から出たあとは身体を洗い流したあと普通の温泉に入るというルートになっており、それにしたがって普通の温泉にも浸かった。

 

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↑入口にあった注意書き。温泉にやっかいな老人はつきものなのかもしれない。