みみずく通信

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クリスマスが今年もやってきた

このブログを始めてから二年が経ちました。

hidamarumaru.hateblo.jp

読み返したら恥ずかしさのあまり半笑いで変な声が出ました。僕というやがて人類史において大きな意味を持つ人物にとっても、自分のブログを読み返すことは一種の拷問です。

二年前の僕は浪人生で、頭がおかしくなっていためクリスマスにPS3で新しくブログを始める(*1)という行動に出たのですが、今年は世界一脳が溶けている人種であるところの大学生なので、友人とクリスマスパーティをしました。

 クリスマスパーティ!

あなたはクリスマスパーティと聞いてどんな場面を想像しますか?飾りつけた部屋……七面鳥をはじめとする豪華な食事……プレゼント交換……シャンパンなんか開けちゃったりして……

仏教なんかやめてキリスト教に入りたくなりますね!精進料理(笑)

 

当日は15時に友達の家の最寄り駅だったのですが、僕は電車が遅延したため少し遅れて行きました。

スーパーで合流すると、既にカートには様々な飲食物が積まれていて、チキンを買うかどうか話し合っているところでした。会話を書こうと思いますが、せっかくのクリスマスなので、仮名として使徒の名を拝借しようと思います。

ぼく「何を買おうとしてるの?」

ペトロ「いや、ヤコブがクリスマスパーティらしく骨付き肉が買いたいって……」

ヤコブ「流石に買うでしょ」

ぼく「まあ……買えばいいんじゃない?」

なにかすごく罰当たりなことをしているような気がしますが、僕はキリスト教徒ではないので気にしません。計画当初は「プレゼント交換?俺センスないし無理だわ。買い出し?一人が行けばよくね?」みたいなノリだったヤコブが当日になってやたらノリノリになってるのも気にしません。

さらにお菓子を買おうということになって、お菓子売り場へ向かいました。

ヨハネ「なんかショートケーキ味のポテチがあるらしいよ」

ぼく「ショートケーキ……?ポテチってなんだっけ……」

ヨハネ「ポテトチップス」

ぼく「それはわかる」

お菓子売り場に着くと本当にショートケーキ味のポテトチップスがありました。

 

正直初見の感想は「湖池屋はいったい何を考えているんだろうか」でしたが敢えて口には出さず、「いいじゃん!買おうぜ!」と言いカゴに放り込みました。ヨハネはさらに自分の分とか言ってもう一袋買ってました。冒険しすぎだと思う。

さらにいくつか買い足し、会計を済ませ、友人(仮名:アンデレ)宅へ。

前情報では親は出かけていて、妹は下の階にいるということだったのですが、実際に家にお邪魔してみると妹さんはお友達と二人でリビングにいらっしゃいました。とりあえず「こんにちは……お邪魔します……これ、どうぞ……」と言ってショートケーキ味のポテトチップスを渡しました。苦笑いで受け取ってくれました。ごめんなさい。

妹氏とそのご学友には退散いただき、テーブルの上に買ってきたものを並べてみました。

ぼく「あれ……?アルコール類が日本酒しかなくない……?」

テーブルの中央には堂々とそびえ立つ一升瓶が。しかし他にはシャンパンはおろか、ワインも、ビールも見当たりません。チューハイの缶はひとつだけありました(*2)。これではクリスマスパーティというより忘年会です。一発芸大会とかはじまりそうです。酔いにまかせて主イエスが墓から蘇ったときのモノマネしま〜すwとか言い出す人が出てきてしまいます。

どうも最初に集まった4人のあいだで意思疎通がうまくいかず、日本酒をヨハネが放り込んだあと特に誰も追加せず、それに誰も気づかず現状に至ったらしい。

まあいいか……と飲み物のことは置いておき、各自なんとなく適当に椅子に座り落ち着く。

……やることがない。

ここまでの流れでお察しのように、計画性がない人達の集まりなので、当然当日何をやるかなど全く決まっていません。ゲームをやろうにもコントローラが2つしかありません。僕はもともとこうなることはわかった上で楽しく雑談できればいいや、と思っていたのですが、ヨハネが現状にご不満の様子。

ヨハネ「なんかしようよ」

ぼく「でもなにもすることがないよ」

ヨハネ「じゃあしりとり」

ぼく「ええ……」

そこへ「ぼーっとしてて気づいたら一時間経ってた」と悟りを開きそうな理由で遅刻していたフィリポが到着。僕達がバスで来た道を、なぜか徒歩で道に迷いながら来たそうです。やっぱり悟り開くんじゃないか?

フィリポ「じゃあ最近うちのサークルで流行ってるしりとりやろう」

なんでも、前の人が言った文字数以上の単語を言わなければならないという追加ルールありのしりとりが流行ってるらしいです。なんで麻雀サークルなのにしりとりをやっているのか、ということはおいといて、さっそくやってみることにしました。

フィリポ「まあいきなり文字数増やすとキツいからそのへんは空気読んで」

正確な内容は忘れましたが、フィリポ、ペトロは無難に二文字の単語をつないでいたところをぼくが「ゆりかもめ」とさっそく空気の読めなさを発揮し、ヨハネが「いきなりハードル高いよ〜」と言いながら五文字でつないだところをヤコブが「プール工業地帯」と言い出し、ゲームは完全に停滞しました。この人達に政治とか任せたら一瞬で国が崩壊すると思う(他人事)

出前のカツ丼が届いたときに順番だった人が負け、というルールだったので、9文字以上という制限に苦しみながらみんながんばって回していきます。しりとりをしながらカツ丼の出前を待つ姿は、もはや忘年会ですらなくニートの集会感が漂っていました。

一周してヤコブが「そんな長い単語思い浮かばねえよ」と言い全員から「お前が原因だろ」と突っ込まれている最中に、カツ丼が届きました。

カツ丼と日本酒という組み合わせに深い悲しみを覚えた僕がやっぱりワインとかほしい!とごねたところフィリポがピザがあるのにビールがないのはありえないと同調し、カツ丼を食べ終わったあとコンビニに買いに行くことになりました。

アンデレの自宅からはコンビニが少し遠く、徒歩15分ほどかかってしまうので、僕達は走り出しました。そこには若干の青春があったように思うのですが、残念ながら運動不足の集団なので、すぐに「おおう……カツ丼が出る……」と言った呻きが聞こえ始めました。途中で目的地がドラッグストアに変更になったため先頭の二人がコンビニに放置されるなどの些細なトラブルはあったものの、無事スパークリングワインとビールを買って戻ってきました。

さっそくスナックでバイト経験のあるフィリポがワインを開けます。せっかくだからコルクを飛ばしたらどうか?という提案もあり、ヤコブに至っては「そういうのは嫌いな奴の顔面に向けて飛ばすんだよ」と盛大な前フリをしてくれたのですが、やはり人の家で飛ばして何か壊したらまずいということで静かに開けることに……。

なったはずだったのですが、フィリポが力を入れた瞬間コルクは勢いよく吹っ飛び天井にぶつかり跳ね返ってテーブルに当たりそのままどこかへ。全員がコルクの動きに気を取られていると遅れてスパークリングワインのワインがスパークリングして勢いよく吹き出しペトロに降りかかりました。ここに「フィリポはペトロを嫌っていた」という学説が生まれました。

そろそろこの記事公開したらキリスト教徒の人に怒られないかな?と不安になってきました。

さて、フィリポがペトロに怒られたあとは、お酒を飲みながら話したり「教養がありそうな単語限定しりとり」なる頭の悪そうなしりとりをしたり、楽しく過ごしました。僕は笑い上戸なので酔ってからはヤコブの一挙一動がおもしろくてずっと笑ってました。ごめん。高校の弓道部の同期の集まりだったので弓道用語で山手線ゲームをしたけど何も覚えてなくて三回連続で一発負けしました。四回目は弓道教本を見ながらやったので圧勝しました。同期の集まりのはずなのに大学一年生も大学二年生も大学三年生もいたのがおもしろかったです。でも一番おもしろかったのは、大雑把に言うと「働け」という内容のアナ雪の替え歌を流し始めたらヤコブ(*3)がイヤホンをしてPS Vitaをしはじめたことです。

 

*1:当時はPCもスマホiPodも没収されていた

*2:ヨハネが自分用に買っておいたらしい

*3:ヤコブはサークルに所属せずバイトもしたことがなくゲームばかりしている。そしてそれをいつもネタにされている

Days of

今朝は土砂降りだった。僕の地元は下町で、道路も舗装されてはいるが適当なもので、その水はけの悪い道を歩いたせいで、靴の中の靴下の中までびっしょり濡れた。気持ち悪かった。

本当は、家を出て外の景色を見た瞬間に大学に行くのをやめようかと考えたのだが、もう休めない講義があったので仕方なく大学に行った。

僕は授業というスタイルが苦手だ。座って話を聞くことが苦痛だし、集中が長時間保てないため、はっと気づいた時にはもう板書が消えていることが多く、授業についていくのも困難だ。その上感情のコントロールが下手で、いつも感情に振り回されて後悔するような行動ばかりとっている。数年後には僕も就職活動をしなければならないけども、サラリーマンとか絶対向いてないと思う。将来が不安である。石油王になりたい。石油王なら向いてると思う。渋谷のハチ公前のスクランブル交差点を全裸で逆立ちして渡った上に鼻の穴から石油を飲むので石油王にしてほしい。

 

というわけで、今日は大学を早退してX-MENの映画を見た。

昼間から家で映画を見るというのは、映画館で見るのや、金曜ロードショーで見るのとはまた違った良さがあるのでおすすめしたい。映画館が”非日常”、金ローが”日常”だとすれば昼間(できれば平日)に映画を見ることは、”超日常”である。喧騒は外。家の中は静寂。光も外の世界のもの。カーテンで遮られた陽の光は、不思議な雰囲気を作り出す。映画を見る準備をしているあいだ、普段暮らしている部屋が、日常から切り取られていくのである。そして再生ボタンを押したとき、僕達は完全に非日常の住人となる。

 

気障なことを書いたけども、X-MENはすごくおもしろかったと思いました(小学生並みの感想)。

それにしてもアメリカのファンタジーって主人公達の人格や行動に問題がありすぎるの多くない?いっつも仲間割れしてない?それもまた面白いんだけどさ…

X-MENのような、それぞれに正義があるみたいな作品すきです。主義主張は違っても、お互いを認め合えたらいいよね。Dragon Nightでもそんなような歌詞あるよね。つまりムーンライト、スターリースカイ、ファイアーバードってこと。エリックとチャールズはズッ友だよ。。。!

21

最近よく施設に祖父母のお見舞いに行っている。

 

特に祖父のほうはけっこう弱っていて、座って話を聞きながらいろいろと思うところはある。が、こっ恥ずかしいので書かない。

 

少しだけ書こうと思う。

 

祖父母はふたりとも認知症の傾向が出ていて、記憶に欠落があったり、勘違いをしたりすることがある。このあいだは、テレビで見た記憶とごっちゃになって韓国にいることになっていた。いきなり「和樹は韓国語を話せるのか?」と聞かれたときは何のことかと思った。僕が落としたのはフランス語だ。

その上、祖父は「ばあさんはボケちゃってなあ……」と事あるごとに言うし、祖母は「おじいちゃんはボケちゃってねえ……昔は頭良かったのよ?」と毎回のように言う。お互い自分のことを棚に上げていると母にいつも笑われている。

 

2週間前、祖父の兄妹が和歌山から訪ねてきた。弱っているのを見られたくないらしく、最初はぶっきらぼうな態度をとっていたが、お土産の柿を食べているうちに泣きはじめた。祖父が泣くのを初めて見た。祖父は泣きながら言った。

「節子を守ってやるつもりだったのに……守られてしまった……」

ああ、と思った。この時までずっと疑問に感じていた。様子を見る限り二人とも自分の病状はしっかり認知しているようなのに、なぜ相手のことばかり言うのだろうと。

 

僕は今年で21歳だ。今日聞いた話だと、おじいちゃんがおばあちゃんに会ったのも21歳だったらしい。いろいろと思うところがある。

 

 

No OCaml, No Life

突然ブログを更新したくなったので、大学のPCからこの記事を書いています。

僕は情報科学、いわゆるIT(正確には僕がやってるのはComputer Scienceですが)を専攻しています。今はOCamlというプログラミング言語について学んでいます。僕が今まで学んできたCやJavaが命令型言語と分類されるのに対し、OCaml関数型言語と呼ばれるプログラミング言語です。わかりやすく言うと、英語を学んでいたらいきなり「これからはフランス語を学ぶぞ!」と言われた感じです。英語は一番メジャーですし、日本語のサポートもいろいろありますが、フランス語を学ぶのはなかなか骨が折れます。さらに、我々の教授は「OCamlを使って論理型言語のコンパイラを実装しろ」と言います。わかりやすく言うと、フランス語を学んでいたらいきなり「フランス語を使ってロシア語を定義するぞ!」と言われた感じです。インド人もびっくりですね。フランス語も拙いのにロシア語の文法についてフランス語で説明するんですよ?ガンジーもびっくりですよ。でもガンジーは非暴力・不服従でよかったですが、我々はそうもいきません。非暴力・不服従を貫いていたら留年するだけです。もうおわかりですね?これは現代に蘇った帝国主義です。しかも、敵は列強だけではありません。OCamlは非常に厳密な言語です。そのせいか、OCamlOcamlと書くとフォロー外からいきなり「OCaml, not Ocaml」とリプライが飛んできたり、「OCamlをおーきゃめるって発音するのは無理があると思う」とツイートするとフォロー外から「中の人がそう呼んでるので諦めてください」と飛んできたりします。もう完全に世紀末です。日本語の文献はわずか、周りはモヒカンばかり。課されるレポートはまるで地獄の責め苦の新アトラクション。第一次世界大戦のドイツ軍支配下におけるユダヤ人……には流石に及びませんが、近い状況に我々はおかれています。アンネ・フランクの悲劇を繰り返すな。言語の前に歴史を学べ。我々は切に願っています。

Hey Mamaについて本気出して考えてみた

ポルノグラフィティのHey Mamaの和訳と解釈をしてみようと思う。

考察というほどしっかりしたものでもないが、ひとつの可能性の話として受け取ってくれると嬉しい。

 

まず、自分なりの直訳を。

 

ねえママ、

ママにときどき叱られるとき、僕は少し泣いてしまう。

だけど、パパは絶対に泣かない、だから優しくしてあげてよ…

パパは強くあろうとがんばってるんだよ。

 

もっと仲良くしたらいいのに。

ときどき、パパは夜遅くまで飲みすぎちゃってる。

パパは僕にこっそり言ったんだ。

「はじめて会ったとき、ママの笑った顔が可愛かったんだよ。」

 

ママにときどき叱られるとき、僕は少し泣いてしまう。

だけど、パパは絶対に泣かない、だから優しくしてあげてよ…

パパは強くあろうとがんばってるんだよ。

 

一晩中愛し合いなよ

 

ママにパパに優しくしてあげてと話す子どもの話である。

だが、待ってほしい。子どもが母親に向かって自分の父親を指し示すのにyour Papaと言うだろうか?「ママのパパ」と言ったらおじいちゃんのことになりそうなものだ。my Papa、あるいはせいぜいour Papaが適切であるように思える。

 

……というのは後から論の補強のために考えた理屈で、Hey Mamaの他の和訳の可能性についてはじめに気づいたのは同名の洋曲を聴き、その和訳を見た時である。

 

 

Hey Mamaで検索すると真っ先に出てくるので、ちょっと聴いてみた人もいるのでないだろうか。

もちろんこの曲を晴一さんがカバーしたというわけではなく、全く別の曲なのだが、3億回以上再生されているこの曲を、存在を知らないまま晴一さんが同名タイトルの曲を作ったとは思えない。なにかしら影響を受けているだろうし調べてみようと和訳を検索すると、どこのサイトも「"mama"には「セクシーな女性、かわいい娘」という意味があり、hey mama は彼女やかわいい女性に対する呼びかけの言葉である」というようなことが書いてあるではないか。もしかして……?と思いpapaの意味を調べてみるとやはり俗語で恋人を表すと出てくる。よって、mama、papaをそれぞれかわいい娘、彼氏として訳すと次のようになる(ただし今の日本語でhey mamaを正確に訳そうとするとどうしてもクソダサくなるので単に「ねえ君」としている)。

 

ねえ君、

僕はときどき君に叱られると少し泣いちゃう。

でも、君の彼氏は泣かないに違いない、だから彼に優しくしてあげなよ…

彼は強くあろうとしてるんだよ。

 

もっと仲良くしたら?

ときどき、あいつは夜更けまで飲みすぎてるよ。

彼は僕にこっそりこう言った。

「僕達がはじめて会った時、彼女の笑顔が可愛かったんだ。」

 

ねえ君、

僕はときどき君に叱られると少し泣いちゃう。

でも、君の彼氏は泣かないに違いない、だから彼に優しくしてあげなよ…

彼は強くあろうとしてるんだよ。

 

一晩中愛し合いなよ。

 

Good luck to youのような恋愛応援ソングとなる。

この2つの解釈はどちらかが正しいというようなものではなく、わざとどちらとも受け取れるようにしているのではないかと思われる。ビートルズ的なのは曲調だけではなく、歌詞もまたそうだった……というのが僕の結論である。

新しいバイトをはじめた

7月下旬頃、この先予想される給与と出費を照らしあわせて、このままでは最高の夏を過ごせない……と危機感を抱いていた僕のところに1通のメールが届いた。

学生アルバイトの募集をいたしますので、ご興味のある方はご連絡ください。

 天運我に有り、これこそ最高の夏を司る神が授けてくださった救いに違いないと理解した僕は迷うことなく教授に連絡をとった。ついでに友人2人も誘って応募してもらったが2人とも落ちて自分だけ採用された。やはり、教授のほうにも最高の夏の神の思し召しが通達されていたのだろう。各人にはまた別の形で最高の夏が訪れることになるに違いない。神は最高の夏において平等だ。

さて、バイトに採用されたはいいが、この求人の採用人数は2人である。バイトの良し悪しの半分は給料と業務内容の釣り合いによって測られるが、残りの半分は職場環境―つまり、同僚は良い奴か、職場のエアコン温度は適切か、上司の頭は禿げていないか、などによって決定するというのが僕の持論である。僕の知る限り、募集をかけてきた教授の頭部は無事だし、うちの大学はエアコン温度の変更は自由なので、問題は同僚がどんな奴か、ということになる。

うちの大学にたまにいる田舎出のDQNくずれみたいな奴だったら嫌だな……怒ると辞書の角で殴ってくる人だったらどうしよう……ジャングル出身のゴリラ、ヌベレゲ・ウンダバさんとかだったら一周回って面白いかもしれない……などと考えているうちにバイト初日である8/24を迎えた。

適当に準備ができ次第家を出たら5分前に教授のゼミ室に着いた。適当に出発してもこのジャストミート、やっぱりデキる男は違うね?

もともと業務内容が書籍を裁断してスキャンすることだったのである程度予想はしていたが、この教授のゼミ室は本だらけだった。本棚は当然埋まっているとして、そこかしこに本のタワーがうず高く積まれていた。内容も多岐に渡っている。

高等遊民”。

講義を受けていたときから感じていた教授への印象が強まった。

本棚でひときわ目立つ「カルト宗教のトラブル対策」に興味を示していると、後ろでドアが開く音がした。

「あ、なんだ……」

知ってる人だった。これじゃブログのネタにならないじゃないか。がっかりだよ!

僕と違ってしっかり者であることはうすうす感じていたが、やはりと言うべきか、履歴書などを書くことを予想して証明写真ハンコ通帳完備というパーフェクト対応を決めてきた。僕はもちろん全部忘れた。5分前に着いたくらいで調子に乗ってデキる男は違うね?とか言ってごめんなさい……。

作業自体は僕も僕に与えられたスキャナもポンコツだったせいで多少滞ったこと以外は順調だった。接客も飲食も肉体労働もたぶん無理な上に社会不適合者という働くことに向いていない人種なので自分でも働けそうなバイト先が見つかってよかった。

そういえば、契約絡みでこんなことがあった。

 

「大学側に申請したり手続きしたりで最初の振込が1,2ヶ月先になっちゃうんだけど大丈夫?もしもすぐ欲しいんならポケットマネーから出すけど」

「アッ大丈夫です」

「それならよかった」

 

最高の夏、終了。

 

アメリカ人と喋った

僕の家は今から30年ほど前にホームステイを受け入れていて、その関係でかつてうちにホームステイしていた人とその家族とに、未だに関わりがある。

今回そのホームステイしていた人の娘、年齢で言うと19歳の人が、日本に1人で旅行にきた。最後に会ったのは中学生の時、僕と僕の家族がアメリカに旅行で1週間滞在したとき以来である。名前はエリーで、アダムという兄とアーサーという従兄弟がいる。アーサーは僕が高校生のときに日本に来た。アメリカに行った時にはアダム、アーサー、僕、弟でずっとスマブラスターフォックスをやっていた仲である。

以前なら英語がわからなければ父親に助けを求めればよかったが、今回は僕がもう大学生でバイトの塾講師では英語を教えているということで、忙しい父親に代わって翻訳係として何度も呼び出されることとなった。日本人とすらうまく喋れないので大変だった。TOEICみたいに選択肢が出てほしい。会ってみたら記憶の中のスレンダーで可愛らしい金髪のエリーは、これがアメリカンスタイルというやつか、縦にも横にも大きく成長していた。久しぶりに会った最初の印象は「強いお母さんになりそう」だった。バーゲンセールで無双してそうだ。あとちょっとオタクになっていた。デスノートとか進撃の巨人とかソードアート・オンラインとかBTOOOMとか。エリー曰く自分はローレベルのオタクだけどアーサーはハイレベルのオタクだよとのこと。俺もローレベルのオタクだよ。アダムは車にハマってるらしい。小学生のとき、アダムからMagic: The Gatheringのブースターパックをもらったことを覚えていたので聞いてみた。

 

ぼく「俺いまマジックやってるんだけどアダムとアーサーはまだやってる?」

エリー「アダムはやってないけどアーサーはまだやってるよ。ていうかアメリカの男の子はみんな大学で毎日毎日マジックばっかやっててガールフレンドはみんなイライラしてるね」

ぼく「HAHAHA(乾いた笑い)」

 

アメリカでもよくあることらしい。